ヤマトシステム開発株式会社 カードソリューションカンパニー
データプロセシングソリューショングループ アシスタントマネージャー 碇 貴史氏(右)
プロダクトグループ チーフ 佐藤 総一郎氏(中央)
プロダクトグループ 兜木 絵里氏(左)
ヤマトシステム開発について
ヤマトシステム開発は、お客様の業種・業態に合わせたソリューションで、業務全体の効率化を実現する「業務プロセス効率化パートナー」です。
お客様が事業戦略や商品の企画・開発などの本業(コア業務)に専念いただけるよう、その周辺業務(ノンコア業務)を支援しています。
「宅急便」をはじめとする多様なサービスをICTから支えているヤマトシステム開発では、ジーンコードを導入し、同社が提供する「明細書Web通知サービス」のスマートフォン対応を実現した。導入の経緯と効果について、詳しく伺いました。
— ジーンコードを利用して、スマートフォン対応のコンテンツを配信しているシステムについて教えてください。
「明細書Web通知サービス」のスマートフォン対応に、ジーンコードを利用しています。
「明細書Web通知サービス」とは、ヤマトシステム開発が独自に運用しているWEBサイトを通じて、利用明細書の通知やサービス申込受付などのサービスを共同利用型で提供するサービスです。クレジットカード会社様や信販会社様などが会員向けに提供する基本的な機能を網羅しており、自社でシステムを開発することが難しい企業でも、低コストで、先進的、かつセキュアな会員向けサービスをご提供いただけます。
当初、クレジットカード会社様などがご利用いただくケースを想定して開発したサービスですので、クレジットカード業界のセキュリティ基準「PCI DSS(※)」に準拠しているのも特徴の1つなのですが、最近では、不動産業や金融・保険業、製造業などから引き合いを受けるケースも増えています。
(※:Payment Card Industry Data Security Standards、クレジットカード会社が取り扱うカード会員の情報を安全に守るために、JCB・American Express・Discover・MasterCard・VISAの国際ペイメントブランド5社が共同で策定した、クレジット業界におけるグローバルセキュリティ基準。一般社団法人日 本クレジット協会(JCA)では、カード業界に適用対象業務毎に2018年3月までに 準拠するように求めている)
「明細書Web通知サービス」のサービスイメージ(図提供:ヤマトシステム開発)
— ジーンコードを導入する以前は、スマートフォン対応はどのようにしていたのでしょうか。
ジーンコードを導入する前は、特別、スマートフォンへの対応は実施していません。PC向けのサイトを、そのままスマートフォンで表示するようにしていました。
— スマートフォンへの対応は、サービスを利用する企業やその利用者からの要望が多くなってきたからですか。
もちろん、「スマートフォンに対応をしてもらえるのであれば、それに越したことはない」という声はありましたが、それによって利用コストが大幅に上がるのは困るというのが現状でした。カード会社様から見れば、スマートフォンに対応しても会員数が増える大きな要因にはならないという判断があったようです。
— ではなぜ、スマートフォンへの対応を進めたのでしょうか。
仮に、現時点でスマートフォンへの対応が求められていないとしても、スマートフォンの普及速度を見れば対応が必要になることは明らかです。さらに、PCは横画面でスマートフォンは縦画面なので、利用者様の見やすさ、すなわち満足度を高めるためにも、サービスインフラを提供する立場からすれば、これ以上スマートフォンへの対応を先送りにする理由は見つかりませんでした。
ただし、大きなコストがかかると、その分、サービス利用料に反映しなければならないので、初期導入コストはもちろん運用コストも含めたTCOをできるだけ抑えながら、対応を進める必要がありました。
— スマートフォン対応を実現するための仕組みを選定する際の要件を教えてください。
既存のPC向けコンテンツとは別に、スマートフォン用コンテンツを二重で作成・管理するのは効率が悪いので、既存のPC向けコンテンツをスマートフォン向けに変換する仕組み(システム)の導入が最適だと考えました。
導入するシステムの要件は、まとめると3つのポイントが挙げられます。
(1) システム的な要件
独立してコンテンツを変換するシステムが理想的だと考えました。既存のPC用システムに手を加えることなく、開発コストや導入期間も最小限に抑えることができるからです。また、将来的にシステムを改変する際にも、連携部分が密であればあるほど大きな足かせとなりかねません。さらに、共同利用型のシステムなので、変換パフォーマンスもできるだけ優れたシステムが理想的だと考えました。
(2) セキュリティを確保するための要件(PCI DSSへの準拠)
「PCIDSSに準拠している既存のシステム環境下で適正に運用できることは、重要な要件ポイントでした」(碇氏)
セキュリティ要件はシステム要件とも関連しますが、変換するシステムに関してもPCIDSSへの準拠は必須要件となります。ただし、変換システム自体が準拠している必要はなく、PCIDSSに準拠している既存のシステム環境下で適正に運用できることがポイントになりました。具体的には、すでにPCIDSSに準拠しているファイアウォール内のネットワークで運用ができることや、変換システム内にデータが残らないことなどが挙げられます。そのため、クラウドやASPなどの変換サービスではなく、オンプレミス環境で運用できることも要件でした。
(3) 運用負荷を軽減するための要件
標準的な技術に準拠した製品であることも重要だと考えました。標準的な技術に準拠していれば、各種ブラウザやデバイスとの相性も良く、メンテナンスもしやすくなります。逆に、独自の技術や標準化されていない技術が組み込まれていると、特定のスキルを持った人的リソースにしかメンテナンスができなくなったり、外注をせざるをえなくなり、運用コストの増大を招くことになります。属人化することでブラックボックス化してしまうことも懸念されました。
標準技術だけに対応した仕組みであれば、知識を習得するのも比較的容易なはずです。わかりやすく言えば、未経験の新入社員でも、短期間で最小限のメンテナンスができるような環境を実現し、運用コストの増大を防ぎたいと考えました。
— ジーンコードの採用を決めた理由を教えてください。
ジーンコードは標準的な技術に準拠しており、テンプレートの作成も容易かつ自由度が高いので、運用コストを抑えることができると判断しました。
システム面に関してはプロキシサーバ型で導入できるので、既存のシステムやネットワークインフラなどに大きな手を加えることなく、疎結合な状態で導入でき、セキュリティ面でもPCIDSSの要件をクリアできるので問題はありませんでした。
さらに、導入検討時に評価版を提供してもらえたので、実際の動作や変換後の見栄え、パフォーマンス、テンプレートの作成のしやすさなども確認できました。そのため、安心して導入を進めることができました。
— 導入時に苦労したことなどはありましたか。
当初はジーンコードも、シンメトリックの存在も知らず、別の製品の導入が決まりかけていましたが、展示会でジーンコードのことを知り、改めて選定をやり直しました。しかも、初期導入費用に関しては他社製品のほうが割安なケースもあったので、社内での調整などには少し手間取りました。
「プロキシサーバ型で導入できるので、既存環境に手を加えることなく、セキュリティ要件もクリアできました」(佐藤氏)
— 「知らない会社」の「高い製品」ということで、反対の声も大きかったのではないでしょうか。
製品の機能や仕様だけでなく、導入検討を進める中で、コンテンツの変換に特化したシンメトリックの技術力の高さを実感できたことが大きかったと思います。ジーンコードなら、安心して使い続けることができるので、長期的に投資を保護するという面でも導入メリットは大きいと考えました。
— ジーンコードの導入にはどのくらいの期間がかかりましたか。
時間に追われて導入する必要はなかったので、機能をリリースするまでに多少時間はかかりましたが、テンプレートの作成も含め実質的な構築期間は2か月ぐらいです。
— ジーンコードの導入効果について教えてください。
スマートフォンは、デバイスやOS、ブラウザの種類が多く、更新頻度も激しいのですが、そのすべてについて表示確認を気にしなくて済むというのは、とてもありがたいことです。
また、通常の運用はシステムやコンテンツ開発の経験のない若手の担当者が兼務で担当できるので、運用コストを低く抑えることができ、低コストでサービスを提供できる体制を実現できました。
今では、サービスの利用企業様からも、正式にスマートフォン対応を謳うことができるようになったと喜ばれており、新規営業の際のアピールポイントの1つともなっています。
さらに、特殊な使い方かもしれませんが、スマートフォン向けに変換するだけでなく、特定の会員向けのPCコンテンツへと変換することで、本体側で手を加えることなく一部だけを変更したコンテンツを簡単に配信できるようになりました。
「デバイスやOS、ブラウザの種類を気にせずに、メンテナンスできます」(兜木氏)
— 今後の拡張予定などがあれば教えてください。
システムは順調に稼働しており、特に大きな拡張予定などはありませんが、デザインの自由度は高いので、順次、見直しをかけていければと考えています。
— シンメントリックへの期待などあればお聞かせください。
導入時や利用を開始してから初期の段階では、大変お世話になりました。さまざまな質問に迅速かつ丁寧に対応してもらいとても感謝しています。困ったとき、本当に頼りになる存在でした。
今後も、製品だけでなく、スマートフォンに関連する最新情報の提供に期待すると同時に、コンテンツの制作に関する協力などもお願いしたいと考えていますので、引き続きよろしくお願いします。
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